2018年5月25日に、国税庁は「契約書や領収書と印紙税(平成30年5月)」と「印紙税の手引(平成30年5月)」を国税庁のWebサイトに公開しました。
印紙税は身近な税金
「収入印紙」に対して、どのような印象をお持ちでしょうか。
自分には関係ないと思われる方も多いことでしょう。
というか、関係ないと思いたいのかもしれませんね。
たしかに、普段の生活の中では、領収書ぐらいですね。
それも、印紙が貼付されるケースは少ないですね。そもそも対象が5万円以上ですし、「印紙税申告納付につき税務署承認済」と15ミリメートル以上×17ミリメートルの枠線で囲んで印字した表示をしている場合が多いです。
レジでその都度印紙を貼付するのは大変ですものね。取り扱い件数の多い店舗は、そのような対策をしています。
そのため、一般的な消費者が収入印紙の実物を見る機会は少ないです。
事業活動における印紙税
課税の対象となる取引を行う場合は、必ず印紙税を支払わなくてはなりません。「その取引が対象だったなんて知らなかった」は通用しません。税務調査で発覚した場合、過怠税というペナルティがあります。
領収書においては、あまり貼付されないというトラブルは経験しませんが、契約書においては、結構苦労しています。
契約書を当事者が2通作成し、それぞれ保持するとなった場合、双方が印紙税を負担するのですが(両者ともに課税対象組織の場合)、相手方が負担を渋ることが結構ありました。
それもそうですよね。契約金額が大きくなるほど、印紙税額も大きくなります。
1円でも安くしたいと、価格交渉を重ね、さて契約となった際に、「印紙1万円必要です(1000万円を超え5000万円以下の請負の場合)」なんて、言ったとしたら、すんなり受け入れがたいと思う人もいることは想像できます。
最前線で交渉している担当者が印紙税について詳しくない場合には特に難航します。契約書を確認するバックオフィスの担当者は当然印紙が必要と主張します。
私も、担当者間での交渉が難航した場合に、先方の法務や経理を担当している方と直接話して対応したことがありました。
印紙を貼付したものの保管は、自社か、相手方か
自分がちゃんと印紙を貼付して、先方が貼付してくれなかたらどうなるのでしょうか。
税務調査と先ほど書きましたが、自社は関係ないと思っていませんか?実は、契約した相手方に調査が入った際に、印紙が貼付されていない契約書類が見つかった場合に、反面調査として調査に入られることがあるのです。
ビジネスにおいては、お互いが印紙税を負担し、相手方に渡すことになっています。
時々、内部監査対策として、自社保管分に貼付して保管して安心している方もいますが、相手方に保管されているものが自社にとって重要となります。
印紙税の手引きの使い方
契約書類は、「契約書」と名の付く書面だけではありません。タイトルは関係なく中身で判断されますので、その取引の内容が印紙税の課税対象でないかを、確認する癖づけが必要です。そこで、参照とするのが国税庁の発行する「印紙税の手引き」です。
定型の書面であれば、一度確認をとれば問題はないと思いますが、先方作成の書面であったりすると、その都度、きちんと確認することが欠かせません。
そして、相手と印紙税について意見の相違があった場合は、この手引きにてお互いが確認します。
毎年、この時期に改訂されますので、最新版を常に入手するようにしましょう。
こうした手引きを、社内の教育や、取引先への説明に活用しています。そして、判断に迷ったら、タックスアンサーも参照し、それでも解決しなかったら税務署に確認しています。私も社内の説得に、結構苦労しました。税金は正しく納めないと大変なことになります。印紙税って奥が深く、いくら勉強しても、いまだに結構新しい発見があったりします。
お互いが理解を深めたら、書面のやり取りがスムーズになります。そうなるよう、私も頑張っています。